エンターテイナー・アモルのカレイドスコープ

AWsの代表、エンターテイナーであるメリーさんのアモルが万華鏡の如く感じたことを書き綴る

【レビュー/感想】Papers, Please【さぁ、君も社会主義国の入国管理官になろう!】


 こんばんは。E3 2016がはじまり、PSVRの発売日、および予約開始日が明らかになりました。私の遅筆っぷりから考えると、もしかしたらこの文章が世に出ているころにはとっくに予約が開始されているかもしれません(そんなことがないようにと常々思ってはいますが)。私はもちろん予約するつもりです。私がHMDの一つである「HTCvive(いわゆる「スチームVR」)」を使った体感型ゲーム『アーガイルシフト』をプレイした時の感想については過去記事に載せてありますので、是非ご覧ください。

 さて、今回紹介する作品は『Papers, Please』です。先日、トゥモローチルドレンをレビューしたところ、「社会主義なら『Papers, Please』があるだろ、ばっかもーん!」と身内からお叱り(?)を受けまして、この記事を書く次第となりました。

 

 

[最初に余談]

 本作は過去に紹介した作品と違い、『steam』(Valve社が運用しているPCゲーム販売用のプラットフォーム。EA社が持つ『origin』やubisoftの『UBI PLAYER』等と似たような存在だが、Valve社以外のソフトやインディーズゲーム等を多く配信しており、他二社のそれと比較して規模が大きい)で配信されているパソコン用のゲームである(最近はスマホ版もあるらしい、友人に少し触らせてもらったことがある。後で多少触れる)。PLAYSMというサイトでも販売されてはいる。ちなみに自分はPLAYSMで購入し『steam』のダウンロードコードを取得してプレイした(というか当時はsteamはコンビニ決済に対応しておらず、自分には使えるクレジットもなかったのでPLAYSMで買うしかなかった)。


【概要】
 
 アルストツカへようこそ! 『Papers, Please』はアルストツカの唯一の入国管理局の入国管理官として、入国を希望してやってくるたくさんの人たちのパスポートに「認可」もしくは「非認可」のスタンプを押印して返却する、そういうゲームだ。何? 簡単そう? その判断は分かる。私も最初はそう思った。しかし、それは甘い。アルストツカは隣国のコレチアとの戦争を終えてグレスティンという街のうち、東側(東グレスティン)を取り戻したばかり。そして何を隠そう、この国境はグレスティンにあるのだ。国境を超えればそこはかつての敵国コレチアの街、西グレスティン。その国境が危険でないはずがない! ましてこのアルストツカは社会主義国だ。資本主義国からどのように見られているか。ともかくそんな場所に勤めることになったあなたとその家族の物語だ。
 話を聞いて察したかもしれないが、東西ドイツがモデルになっている。グレスティンのモデルはベルリン。あなたはベルリンの壁の唯一の通り道を守っている、というわけだ。(実際のベルリンは別に東西ドイツの境目にあったわけではないが)


【ゲームの流れ】

 ゲームをさっそくはじめてみる。まず初日「アルストツカの人間のみを通すように」と通達がある。楽勝だ。アルストツカの人間に対しては「認可」のスタンプを押印。それ以外には「非認可」を押印。しばらくすると、「パスポートを」と声をかけてもパスポートを出さない人間が。彼は「この国境を開いたのは間違いだ」との言葉を残し去っていく。初日から不穏な空気が流れる。「入国できるのはアルストツカの人間だけです」と言われ悪態をつく人間もいる。
 そして二日目、ついに他の国の人間も入国が許可されるように。そしてここからは不正なパスポートを見つけ不正入国を防ぐ、という仕事になる。こういうゲーム性なので、この『Papers, Please』は一言で表すなら「間違い探し」ということになる。二回以上失敗(いわゆるお手付き)をしてしまうと給料からペナルティが天引きされてしまうので気を付けよう。
 そうそう。説明を忘れていたが一日が終わると給料が払われ居住費が引かれる。そして残りのお金を使って家族を養うことになる。「暖房費」か「食費」かを切り詰めながら生活することになる。「暖房費」を切り詰めてしまうと「息子」が病気になってしまい、「薬」が必要となりその分の出費が求められる。しかし、「食費」を切り詰めすぎてしまうと飢えて死んでしまう。ちなみに赤字になるとアルストツカは借金を認めていないのでブタ箱入りになってしまうので注意が必要。そうなってもいつでも日付をさかのぼってプレイできるのでそこは安心だ。
 他にも「私たちはとある不正労働に使われている。もしその男が現れたら通さないでほしい」等という相談を持ち掛けられることも。業務を守り男を通すも、彼女らを守るために通さないのも、あるいは告発するのもあなたの自由だ。ちなみに通してしまうと、次の日二人の女性の死が新聞に載るので非常に後味が悪い。と少しだけネタバレしておく。他にも単に賄賂を渡してくる人、爆弾を差し出して逃げる男、亡命してきたのだが、妻は亡命を認可されていないからなんとか妻も通してほしいとお願いしてくる亡命者など、ただの間違い探しの連続に終わらない多彩なイベントがあなたの入局管理官ライフを盛り上げてくれる。

 そして、EZICという謎の組織があなたに接触してくる。どう対応するかも、あなた次第だ。


【所感】

 インディーズゲームらしい、非常に独特のシステムをしたゲームである。最初はパスポートの偽造だけだが、アルストツカの入国管理局は様々な要因から様々な書類を課すようになる。ストーリーはわずかながら繰り広げられる入国しようとするキャラクターたちと、そしてあなたの護衛をしてくれる兵士たち、そしてあなたの上官等との会話。毎日仕事開始前に見ることのできる新聞などで伺い知ることができる。
 入国をしようとする登場人物たちのサブイベントは面白いが、特に「EZIC」と呼ばれる秘密組織はエンディング分岐にも関わるイベントを起こすキャラクター達で、「EZICの構成員が入国しようとしている。○○だ、通してくれ」といったわかりやすいもの(ただし暗号)から、「我々を追うものがいる、パスポートに毒を仕込め」とか、挙句の果てには「ある人物と成り代わるためにパスポートを押収してその後私に渡してほしい」等と言ってきたりする(さらに極め付けもあるがエンディングのネタバレになるので触れないでおこう)。
 とにかく、魅力的なキャラクターが多く、最後まで楽しく遊ぶことができた。


【長所】

 とにかくルールがわかりやすい。基本的には手元にある資料とパスポートや書類の、あるいは書類と目の前の人間の見た目や証言を使った間違い探しである。それでいて、書類が増える等、日数が経つに従い、気にするべき対象が増えたり減ったりと問題にバリエーションが存在し、飽きが来ないように作られている。
 キャラクターが魅力的。ゲームパートを重視しているためお世辞にも各キャラクター出番が多いとは言えないが、プレイを終えた後には皆それぞれ印象に残っているキャラクターがいるのではないだろうか。特にジョルジ(Jorji)等は出番が多いので印象に残りやすい。ちなみに、自分はセルジュ(Sergiu)がとても印象に残っている。
 先のキャラクターと被るが、雰囲気がとても良い。社会主義的な雰囲気が好きならプレイして損はないだろう。
 ストーリーは本当にキャラクターの短い会話と新聞だけなので、興味のない人は飛ばすこともできる。中盤以降に若干のシューティング要素が入るが、『Papers, Please』のその国境審査だけをしたいなら無視することもできる。最も、本当に『Papers, Please』が好きならストーリーも自ずと追ってしまうと思うが。


【短所】

 得手不得手が出るのはゲームの常とはいえ、苦手な人はお金を稼ぐことができず赤字エンディングを迎えることになる。とはいえ、これは仕方ないだろう。
 間違い探しゲームといいつつ、爆弾解体のミニゲームやシューティングミニゲームがある。前者も後者もテロリストがらみのイベントであり、ストーリー及び雰囲気を出すのに一躍買っているのだが、人によっては気に入らないかもしれない。一応弁解しておくと、前者の爆弾解体については『ポリスノーツ』や昔のフラッシュの脱出ゲームなどに見られたほど複雑なものではなく指示通りの場所をクリックするだけでいいので詰む人はいないと思う。後者のシューティングミニゲームについては発砲さえすれば手当が出るのと、命中させることでさらに特別手当が出る、という程度でほぼストーリーには関係ない。ただし、最終局面ではエンディング分岐の一つになっており、またある場面ではとあるキャラクターの生死に影響する。しかも、エンドレスモードというモードがアンロックされるのはシューティングミニゲームが関係するエンディング分岐先なので気にする人も多いだろう。一応そこまで難易度は高くないが。
 間違い探しの項目のうちパスポートや書類の不備については印象偽造、都市名偽造等があり、時間制限の都合上いちいち手帳を確認するわけにもいかないため、ある程度覚える必要がある。カンニングペーパーを作るのも手で、私は作っていた。ある意味ではプレイヤー側に準備が求められるゲームと言えなくもない。

 

Keep Talking and Nobody Explodes: The Musical (feat. Kevin Clark)

Keep Talking and Nobody Explodes: The Musical (feat. Kevin Clark)

 
ポリスノーツ (ベスト)

ポリスノーツ (ベスト)

 

 


【まとめ】

 社会主義の国の空気を感じることのできるとても魅力的なゲーム。自分に合うかが不安であれば、まずはプレイ動画を探してみるのもありかもしれない。基本が間違い探しゲームなので、見ているだけでも面白い。「あー、今の違ったのに!」とか。ただし、実際にプレイしてみるとまた違った感覚を味わうことができるので、ぜひ自分でもプレイしていただきたい。また、最近はスマートフォン版も出ており、タッチで操作できる分PC版より難易度が下がっていると感じられる場合もあるようだ。私も操作についてはスマートフォン版のほうが早くできると感じた。ただし、PC版でも十分クリアできるので誤解なきように。

 

 アルストツカへようこそ! 問題を起こさぬように。 

Papers Please: the Musical

Papers Please: the Musical

 

 
【宣伝】

 実は私は『Papers, Please』の実況動画を上げている。興味があれば一度見てくれると嬉しい。ただし(今もつたないが)、初期の作品のため正直出来がいいとはいいがたい。とはいえ、人によってはこの実況シリーズが一番面白かったといってくれているので、魅力がないわけではない、と信じたい。ただし、part1は音量が大きすぎる問題があるので、音量注意である。

 

[マイリスト]

愛国者アモルのPapers,Please.実況 by amor000 - ニコニコ動画

 

[part1]

愛国者アモルのPapers,Please.実況【第一回】 by amor000 ゲーム/動画 - ニコニコ動画