トゥモローチルドレンのオープンベータに参加してきました。トゥモローチルドレンはずっと気になっていて、トゥモローチルドレン発売までには買うぞーという感じだったのですが、オープンベータが始まるということで、購入を決意しました。本当はPS4.5の情報がもう少し明かされてからにしようと思ってたんですけどね。まぁ、二カ所にPS4を用意したいので、最悪もう片方をPS4.5にするのでもいいかなと思ったりして。
というわけで、以下、レビューです。
【概要】
トゥモローチルドレンは、ソビエト連邦のある実験により世界が"ボイド"と呼ばれる不思議な物質に覆われてしまい、地球上のほとんどは滅亡に追いやられ、さらにイズベルクと呼ばれる巨大な獣が出現し、わずかに生き残った人々も脅威にされされている。そんな中、生存者たちは"プロジェクトクローン"というクローンを開発し、世界再建を彼らに託すことにした。
プレイヤーである私たちはこの"プロジェクトクローン"だ。私たちは街を再建するために、資源を集め、建物を作り、市民を救出し、そしてイズベルクを撃退する。
【所感】
プレイを初めて最初に感じたのは『A Kingdom for Keflings』をマルチプレイにしてTPS(サードパーソンシューター、プレイヤーキャラクターの後ろから見た視点で行うシューティングゲームのことだ)要素を足したようなゲームだな、ということだった。『A Kingdom for Keflings』をそもそも知らない人も多いかもしれないので、とりあえず、『エイジオブエンパイアーズ』や『エンパイアアース』、『創世記』のようなマクロなRTS(リアルタイムステラトジー。リアルタイムに動き続ける敵に合わせてこちらもリアルタイムにユニットを動かし戦うゲーム。特にここで上がっているものは、単に戦闘だけでなく街を作ったり資源を集めたり、といったより戦略的なもの)を連想してくれればそれでもかなわない。と思う。要するに戦闘の比重がそれらのゲームほどは多くないという話でしかないので。
プレイヤーは"ボイド"内に現れる『島』に趣き資源を獲得して街に持ち帰って資源置き場に納品する。そして、製作所に建物等を作成する。という流れを行う。分かる人には分かると思うが、まさにRTSの流れそのものだ。普通のRTSなら部下に指示して分担してやらせるところを自分たちが行うことになる。もちろんこれはオンライン専用ゲーム。自分一人でこれをこなす必要はない。ある者は必死で『島』に採取を行い、ある者は街に木を植え、ある者はそこから木の実を採取し、ある者は何も考えずにその木を伐り、ある者は建物をたくさん作り、ある者はそれを何も考えずに破壊し続け、ある者は街へ近づくイズベルクを撃退する。そんな感じだ。
しかしながら、プレイヤー同士のコミュニケーションの手段は限りなく少ない。そもそもプレイヤー同士は特定の行動を行った時にしかお互いに見えない。フロムソフトウェアの『ソウル』シリーズ(『デモンズソウル』と『ダークソウル』シリーズ、そして『ブラッドボーン』を含む)における徘徊幻影(他のプレイヤーの姿がおぼろげに見えるシステム。いきなり白い影が壁をすり抜けていった→隠し通路が? といった風に役に立つ。それ以外にも一人ではない、という安心感がある)のようなシステムだと考えればいい。最も、徘徊幻影よりさらに見えない。基本的にプレイヤーが見える瞬間は以下の通りだ。(私が確認した限りなので、ほかにもあるかも)
・製作所、ユニオンショップ、労働審査局などに並んでいる時
・バスに乗っている時
・アイテムを手に持った瞬間、置いた瞬間
・人力発電所、イズベルク迎撃砲台等の人間が載って運用する施設に載っている時
・手を振った時
・ホイッスルを吹いた時
・木をゆする、木を伐る、壁や岩をピッケルで掘る、壁や地面をスコップで掘る等の採取のための行動の時
・その他、鐘等のプレイヤーがアクションできる建造物にアクセスした時
まとめると「オンライン上で他のプレイヤーにも影響を与えるとき」にのみ見えるようになっている。極端な話、「あの資源誰も掘ってないな」と思って近づいたら三人ほどがいきなり掘り始めるといったこともありえる。特に厄介なのは、アイテムを手に持った時で手に取ろうとしたら他の人に取られてしまう、といった現象。仕様上仕方ないが、自分にも相手にも、そのアイテムを他に誰が取ろうとしているのか放置されているのか、判断がつかないのだ(そしてある意味ではそれが面白い)
【良かった点】
なんといっても、社会主義的な雰囲気に満ち溢れている。通貨になるのは自分の労働に応じて労働局から支給される「配給券」。人々の格は住民帳を持っているか、そのうえで自分の家を持っているかで決まるという設定(プレイヤーは最初から住民帳を持っているうえに家を持っていてもいなくても特に変化はないが)。課金によって手に入る通貨は「外貨」。しかも、その使用用途はいずれも「賄賂によって便宜してもらう」という設定。なんでもとりあえず、並ぶということ等
他にもクローンであるという設定により、みんな同じ顔であることの説得力、そして何とも言えない不気味さを醸し出している。
プレイヤーと意思伝達する手段が少ないのである意味では汚い言葉によるぶつかり合いなどは避けられる。
製作は十五パズルのようなパズルで表現される(厳密には九パズルから十八パズルまで難易度に応じて異なる。さらにピースの種類が増えるので難易度はさらに細かく存在する)。製作をすごく早くできる人できない人という得手不得手ができるほか、苦手でもやっていると意外と早くなってくる。自分の上達を感じられる。どうしても苦手な人は他の部分で貢すればいい。
【悪かった点】
プレイヤーとの意思伝達手段、干渉手段が少ないので、相談はできないし、迷惑なプレイヤーがいても対処が難しい。
同期のためだと思われるが、アイテムをつかむ度に数秒待たされる(実際、またされた上、結局アイテムは自分の手元に出てこなかったりする)。これそのものは仕様上仕方ないと思うほかないが、自分の手元に残らなかった場合、そのまたされている間に周囲の他のアイテムも他のプレイヤーに回収されたりすると(ましてそれにより周りに一つもアイテムが残ってないありさまになったりしたら)、徒労感がすごい。とくに自分が採掘したアイテムだったりすると(一応、採掘した時点で貢献ポイントは入る他、他の人が納品しても「自分の採掘物を他の人が納品した」という項目で貢献ポイントが入ることには入るが)。
やることにいちいち時間がかかる。採掘等には単純に時間がかかるし、アイテムを作る、アイテムを買う、となった時には並ぶ必要がある。「配給券」を得るときにすら並ぶ必要がある(もっとも配給券の支給はすぐに終わるので並んでもそんなに待たされないだろうが)。ただし、採掘に時間がかかるのはオンラインゲーム故だろうし、並んだりするのは社会主義的な雰囲気作りにも一躍買っている。
やることが単調なので飽きがち。想像してみてほしいのだが、RTSの農民のように採掘して倉庫まで運ぶ、また採掘ポイントまで歩いてを繰り返すことができるだろうか? もちろん、これを黙々とできる人もいるだろうし、むしろそういうのが好きという人もいるだろう、私の知り合いにもいる。今回は期間が決められていたせいもあってあまり体感できなかったがレベルが上がることで採掘や移動に必要な時間を短くすることだってできる。
プレイヤーはみな同じ顔なので、キャラメイクの楽しみはない(一応いろいろな服を着る楽しみはある)。前述の通り"プロジェクトクローン"の雰囲気を出すのに一躍買っているので、一概に否定はできない。
【まとめ】
察したかもしれないが、良くも悪くも「雰囲気ゲー」としての趣きが強い。いや、そんなことは最初から分かっていたのだが。私はこの雰囲気が好きなので、正式に発売されてもやるだろう、と個人的には思っている。
また、悪かった点には、「オンラインだからある程度仕方ない」という面が強いモノもあるが、このゲームはオンラインだから面白いと間違いなく断言できる。オフラインならこんな問題はないのに、といった「ないもの強請り」は流石にあきらめたほうがいいだろう。「雰囲気のための不便」については賛否あるだろうが、雰囲気が好きでこのゲームをやっている人が多いのではないだろうか。(正直穿った見方をすれば、この雰囲気だから、この不便なシステムでもいいという面もあると思う)まぁ、だからといって全ての悪かった点から目をつぶることはできないが。正式サービスが始まった時に少しでも良い出来になっていたら、と思う。(迷惑プレイヤーへの対処と、アイテムを拾うときの時間くらいは……)
なんだか、悪い点ばかりが目立ってしまったが、私は間違いなく製品版をプレイすると思う。レビューの癖にこの魅力を最大限語れないのは悔しいが、ともかく、不思議な魅力のあるゲームであった。
正式サービスが始まったら、また労働の時が始まる。同志諸君、それまでしばしの休息だ。
- アーティスト: Joel Corelitz
- 出版社/メーカー: Sony Interactive Entertainment Inc.
- 発売日: 2016/11/03
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