エンターテイナー・アモルのカレイドスコープ

AWsの代表、エンターテイナーであるメリーさんのアモルが万華鏡の如く感じたことを書き綴る

【レビュー/感想】スパイダーマン ファー・フロム・ホーム【次のアイアンマンは誰だ。そしてこの物語に伏せられたメタファーについて】

 この記事には『アヴェンジャーズ/エンドゲーム』及びそれ以前のMCU作品のネタバレを含みます。

 

 公開日に見てその日から記事書いてたのに色々あってこんな遅くなってしまった。出遅れた感半端ない。

 MCU*1の一つの集大成『アヴェンジャーズ/エンドゲーム』(以下『EG』)が終わり、そしてその続きがとうとう描かれる。その第一弾がスパイダーマン、と言うことで、見に行かないわけには行かないでしょ!

 

 MCUスパイダーマンは、『キャプテン・アメリカ シビルウォー』にて、アイアンマンことトニー・スタークから新しいスーツを託される、と言う形でアヴェンジャーズの一員となり、単独映画の一本目『スパイダーマン ホームカミング』(以下『ホームカミング』)においても、アイアンマンが登場し、スパイダーマンの成長を助け、見守っている。私はアイアンマン好きなのもあって、『ホームカミング』の父親然としたトニーがとても好きだったりする。

 

 そして、今作『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』は、MCU作品における前作『EG』の衝撃のラストを受けて、のスパイダーマンなのである。楽しみでないはずがない。

 

 MCUはフェイズという単位で物語の群を区切っている。本作『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』(以下本作)は新たなフェイズ、フェイズ4の幕開け!

 と思ってたんだけど、この記事を書く前に念のため調べたら、フェイズ3のラストって事らしいですね。まぁ明確に『EG』から続く話なのでやむを得ないかも知れない。

 

 『EG』は本当に綺麗に終わっていつも恒例のクレジットシーンも実質なしという具合だったので、MCUの今後という意味でもとても気になる作品。

 

 っていつまで気になる話をしているのか。さて、本編の話に移っていきたい。本作は『EG』の衝撃のラストシーンから続く、失意のスパイダーマンから話が始まる。

 『EG』は知らないけどスパイダーマンを見たいと言う人対策か、冒頭にはご丁寧に『EG』で何があった、という事が語られ、そして「新しいフェイズが始まる」なんて発言も出てくる(これもあって私は本作からフェイズ4なのだと思っていたのだが、これはなんだったんだろうか)

 

 とにかく物語としては本当にMCUに入ってもスパイダーマンスパイダーマンだなぁ、という感じ。MJに対する恋に悩み、ヒーローと学生の二足の草鞋に悩み、ここまでは、『ホームカミング』もそうだったが、それに加え、本作にはさらに「責任」という言葉が加わり、ピーターの口からよく飛び出す。これはアイアンマンの死により、ピーターに植え付けられた言葉であり、MCUスパイダーマンでは描かれなかった他のスパイダーマンにおいてベンおじさんが残した言葉(大いなる力には、大いなる責任が伴う)に極めて近い。MCUにおいては、ベンおじさんの代わりをアイアンマンが務めたようなものだ。(やっぱりトニーはピーターの実質お父さんじゃん。泣く)

 

 責任という言葉と合わせて聞かれる言葉が「アイアンマンを継ぐの?」とか「アヴェンジャーズの次のリーダーは?」とか。世界中が求めている。次のアイアンマンを。彼に近しく、そして人々とも近しい(何たって隣人だ)彼はそんな質問にたくさん晒される。しかし、ピーターは、責任と、MJへの恋と、学生である自分と、それらを全て抱え、消化出来ずにいるのだ。

 私見だがスパイダーマンの魅力は、普通の学生が、突然能力を得てヒーローに変化するも、メンタルはあくまで普通の学生、そこから、普通の学生だからこそぶつかるヒーローの壁と衝突し、それを乗り越えてヒーローになっていく、という部分にあると思っている。映画版『スパイダーバース』のモラレスや、過去の他の映画のスパイダーマンもそうだったと思う。

 

 

 何が言いたいかというと、本作は実にスパイダーマンらしい切り口で描かれているという話であり。アヴェンジャーズやアイアンマンの弟子、といったような枠組みがそれを新しい切り口に見せてくれている。紛れもなくスパイダーマンなのに、あったく新しいスパイダーマンなのである。

 

 そして、戦闘もスパイダーマンならではのスタイル。PVのエレメンタルズは水や炎相手に糸では厳しいだろ、それこそキャプテン・マーベルとか、ドクター・ストレンジとかの方が向いてる気がしてしまう。

 もちろん本編で言われてる通り、ドクター・ストレンジとコンタクトを取るのは大変だし、キャプテン・マーベルは地球どころから宇宙を股にかけたヒーローだし、ただそれは逆に言えば隣人であるスパイダーマンに頼らなければならないほど地球のヒーロー事情がピンチである事も意味している(ところでホークアイアントマンとファルコンはなぜ名前すら上がらなかったの? まぁスパイダーマン以上に向いてない可能性も高いが)

 そんなわけで大きく苦戦する序盤と、スパイダーマン向けの敵相手に派手に活躍する後半に別れている。一度破れてからのリベンジというのもスパイダーマンに割とあるパターンな気がしていて、そういう意味でもスパイダーマンらしい話のつくりと言える。

 

 そして、物語のテーマは「アイアンマンを継ぐのは誰か」である。

 アイアンマンとキャプテン・アメリカの居なくなった間隙に現れる新たなヒーロー、ミステリオは、エレメンタルズを一人で三体撃破し、最後の一体も命をかけて撃破するヒーローの鑑。ピーターにヒーローとしてのアドバイスまでする。「そんなヒーローがこれまで出てこなかった理由は?」というのはここまでユニバースが長引いてくると、どうしても出てくる問題だが、その答えとして「別のユニバースからやってきた」という答えにも納得がいく。上手いやり方だ。そんな彼にピーターも「彼こそが次のアイアンマンなのでは」と考えるようになっていく。

 次のアイアンマンは誰なのか。ミステリオなのか、ピーターなのか、それとも、全く別の誰かなのか。

 この問いはなにより視聴者が感じている疑問であり、ピーターに求めている事である。冒頭でピーターを悩ませる記者の言葉は、そのまま視聴者達の言葉なのだ、と私は解釈した。冒頭からそんな問題提起がされているのだ。その答えがこの映画で描かれていると解釈するべきなのか、それとも私たちが見つけなければならないのか。私なりの答えはあるが、それは、ここから先のネタバレコーナーで語っていきたい。

 というわけでここからは、ネタバレも交えた話もしていきたいと思う。アイキャッチ的にスパイダーマンのゲームの話をするので、まだ本作を観てない人はここでバックして欲しい。

 

 

 スパイダーマンのゲーム、ゲームオリジナルの経歴を辿り、成人しているピーターが主人公です。ニューヨークの街をお馴染みのスパイダーアクションで飛び回れます。敵として出てくるのはゲームの本筋のメインの敵の他、脱獄したヴィラン達、という形で既に成人に至るまでに戦ってるはずのヴィラン達も登場させています。

 欠点はアクションパートが回復手段の少なさによって厳しい時があるのと、手軽にスパイダーマンのような飛び回れるのはいいけど、手軽すぎて移動が結構退屈って事ですね。

 ただ、単にニューヨークを再現するだけでなく、サンクタムやアヴェンジャータワーのようにマーベルのニューヨークなのも少し楽しいところです。マーベル・ゲーム・ユニバースとかやって欲しい。

 

 さてここからは本当にネタバレですよ。

 ミステリオはアイアンマンのようなヒーローなどではなかった。虚像を用いる偽のヒーローだったのだ。実在しないヒーロー、というのは、視聴者から見た映画の中のヒーロー達と少し近いものがある。ミステリオが特殊映像をチェックするシーンなどは映画監督のようで、まるでヒーロー映画の舞台裏である。

 つまりここに来てもう一つのメタファーが現れたわけだ。

 観客の声を代弁するように、スパイダーマンがアイアンマンの継ぐように期待する記者の声、そして、そのスパイダーマンが助けを求め、次のアイアンマンの座を託そうとしたのは、「映画の中のヒーロー」である。「誰かに期待するのはやめよう、全ては映画の作り物だ」とでも言いたいかのようだ。しかし、そんな映画の中のヒーローのメタファーであるミステリオはスパイダーマンに倒される。では、「映画の中のヒーロー」を倒したスパイダーマンとは何のメタファーなのか。

 私はスパイダーマンは等身大の人間、だと思っている。先に述べたような通りだ。

 その等身大の人間が、「映画の中のヒーロー」を倒す。なんとも暗示的な気がしてしまう。単に解釈すると「虚像に頼らなくても生きていける」というようなメッセージな気がするがしっくりこない。ミステリオのメタファーの解釈には自信があるので、スパイダーマンの解釈を間違えていそうだ。あるいは深読みのしすぎで、単にスパイダーマンこそ本物(=アイアンマンを継ぐもの)というだけかもしれない。ただ、それだとそのまんますぎて何か他に裏がありそうな気がしてならない。

 あえてこの記事を書くために他の人の感想を全部シャットアウトしてるので、この記事を書きた後、他の人がどんな解釈をしたのかも気になるところだ。

 

 ピーターが新しいスーツを作るシーンは、ハッピーの視線などもあって、アイアンマンの空気を纏っている。少なくともスーツを作る人という点で、ピーターは間違いなくトニーを継ぐものだろう。その上でハッピーが「音楽は任せろ」と言いながら音楽を流すシーンは、紛れもなくスパイダーマンだった。アイアンマンを継ぎながらも物語はスパイダーマンを……何回いうんだこれ、と思われるかもしれないが、それだけ優れたアイアンマンを継ぐスパイダーマンだったのだ。

 

 そしてあのラストシーン。最後まで嘘にまみれたお話だった。『キャプテン・マーベル』は、ニック・フューリーの不死身さの伏線でもあったのか……。

 そして、スパイダーマンのもう一人のレギュラー、デイリービューグルも登場。なんかすごく見慣れた見た目な気がしたのは気のせいかしら。

 ここまで書いて気付いたが、今回のテーマには「嘘」もあるのか。ミステリオは嘘、ニックフューリーは嘘、デイリービューグルの報道は嘘。厳しいけど、MJは嘘が好きっぽいってのもなくはない? 流石にこじつけすぎるか。嘘をテーマにしてる感はあるので、私が気付いてないだけで、もっと嘘はありそうだ。

 

 さて、そんな感じで締めくくられた、フェイズ3だった。いったいフェイズ4はどうなるのだろうか。なんとなく敵の連合のような存在が現れそうだ。ミステリオの仲間達はその最初になりそうに思う。

 スパイダーマンはあの後どうなるのだろう? 以前のインタビューの内容からすると、次のスパイダーマン単独映画は3年生になったピーターが主人公になる予測が出来る。が、正体を暴かれ、悪役に仕立て上げられてから一年放置するとは思えない。なんらかの映画でその後が描かれることは想像に難くない。それがどういう機会なのか、今は期待に胸を膨らませるしかない。

 味方の新ヒーロー達はどうなるだろうか? キャプテンアメリカを継ぐファルコン、『アントマン&ワスプ』に登場したゴースト、あたりしか現状、考える余地がない。映画シリーズが落ち着き、権利問題も解決した『X-MEN』辺りが飛び出してくるのだろうか。その場合も、ミステリオの時に語った「これまでどうしていたのか」をどうにか解決する必要がある。本来ならいくらでもやりようはありそうなのだが、MCUは『EG』という大集合決戦を終えた後、そこに参加しなかったヒーローがいるとするのは不自然極まりない*2。逆の考えとして、『EG』当時に起きていたこと、として物語を展開することはできるか。

 

 ともかく、『EG』が終わってなお、先が楽しみなMCUに今後も目が離せない。

 

 

 

 

*1:マーベル・シネマティック・ユニバースの略。この記事は冒頭の警告の通り、この注釈が無いと意味が分からないようであれば、ここで引き返した方が良い、そして可能なら、『アイアンマン』からMCUを追って、ここまで来てくれ

*2:S.H.I.E.L.D.はどうなったのか登場しなかったりするが。一斉に転移してくるところでヘリキャリアが飛び出してきてくれても良かった、と思う『エージェント・オブ・シールド』好き。まぁシーズン3を途中までしか観れてないので、"今"どうなってるのかを知らないのだけれど