こんにちは、アモルです。今回、レビューしていくのは
KEMCOさんの『最悪なる災厄人間に捧ぐ』です。
『エースコンバット』のレビューするんじゃないんかい!! って話ですが、いや、違うんですよ。このゲームのiOS/Android版が出るんですよ!! しかも発売してすぐはちょっとセールらしいんですよ。
つまり、今が布教の大チャンスって訳なんですよ!! というわけで、先にこのレビュー的な何かをすることを許してほしいし、読んで、そして遊んでみてほしい。
そう、読んで欲しい!! これは未プレイのあなたにこそ捧げる記事だ!! 感想成分は極めて薄い!!!
ちなみにこのレビューではネタバレに配慮し、スクリーンショットは「ファン活動に関するガイドライン/プレイ動画について」に準じて公開可能な範囲の物を使います。
この『最悪なる災厄人間に捧ぐ』。ちょっと長いので、監修のamphibian様*1がケムコアドベンチャーポータルで提案されていた『さささぐ』って略称がよく使われていますかね。
で、この『さささぐ』、まずタイトルを見ると上に示した通り、中々不穏な感じもするタイトルになってますね。最初に言うと、そう、この作品は不穏な要素を持ちます。
さて、『さささぐ』が若干不穏な要素を持つことを話しつついよいよ物語の話に入っていく。
『さささぐ』の主人公「豹馬」は、「自分を含めたあらゆる生き物が見えず、その生き物が発した声等も聞こえない」という状態の人間だ。一種の孤独な状態と言える。あらゆる姿と声が認識できない以上、生活自体が困難だ。ちなみに生物がもっている物も認識できない。そして、自分を含めた生物、ということもあり、スプーンや箸等を持って食事しようにも、自分の持っているスプーンや箸が見えない、という具合で食事も困難だ。(ちなみに肉や魚はそもそも視認もできない)
そんな中彼が出会うのがタイトル画面の黒い少女「クロ」だ。彼女はどういうわけか、豹馬にも姿が見え、声が聞こえる。大体察せられるかもしれないが、このクロは、「周りの人間の姿と声を認識することもできるが、周りからの人間からは見えない透明人間」だ。『沙耶の唄』の沙耶と郁紀の関係*2のような感じだ。
やがて、クロと豹馬は仲良くなっていく。クロから見れば豹馬は唯一お話ができる人間だし、豹馬から見れば唯一姿を認識できる人間、ということになるから、当然と言えば当然と言える。クロのおかげで、豹馬は人と会話もできるようになり、食事もクロの介助のおかげでこなせるようになっていく。
そして、ついに学校に復学するのだが、学校で多くの人に声を掛けられ、クロだけでは対応できなくなってしまう。
そして次の日、クロが突然増えた。クロたちはそれぞれ豹馬との記憶を持っていて、その内容はほとんど一緒のようだった。唯一の違いは、初対面の時、豹馬に買ってもらったアイスクリームの種類だけ*3。そこで彼らは、そのアイスクリームの種類から、「ふー」「キナ」「みー」「なつ」「にゅー」と呼ばれることになった。ちなみにそれぞれその世界の豹馬は自分の世界のクロのことは「クロ」と呼ぶ。今画面に映っている「クロ」は「ふー」ということになる。
やがてクロは様々な経験を得ながら、少しずつ違う経験を経たりして、それぞれ異なる個性を獲得していく。今スクショでしゃべっている白い少女はキナ。きな粉アイスクリームを食べたクロだ。ジト目キャラで可愛い。
ところで、ウィンドウの色が違うことに気付いただろうか? 一枚目の五人が写ってるスクショは赤いウィンドウだったが、今あげた五人のスクショは白いウィンドウになっている。
実はウィンドウの色によって、「どの世界の豹馬か」が分かるようになっている。五人の豹馬の視点が切り替わりながら描かれる物語はとても魅力で溢れている。それぞれのクロがちょっとずつ違うように、それぞれの豹馬もちょっとずつ違う。それに、豹馬のクロに対する対応のちょっとした違いがクロに変化を与えていく所も面白い。
またクロも豹馬も「透明人間」とはまた別の形でも歪みを抱えており、それに少しずつ向き合っていく。
例えば豹馬は、クロが泣く度に、何らかのフラッシュバックを受け、「女性を泣かせる事」に何らかの恐怖を覚えるシーンがある。また、クロは自身の過去を隠していて、どんな生活をしてきたのか、全く不明だ。
この物語は、クロ達と豹馬達がそうして歪みと向き合っていく物語だ。
しかし、ただそれだけの物語でもない。そう、タイトルになっている、「災厄人間」と言う言葉だ。ただ、「最悪人間」とは何なのか。私は、あえてこれを説明するのは避けたいと思っている。それはもしかしたらこの物語が佳境に入った時の熱中度を下げてしまうかもしれないからだ。
ただ、一つ言えるのは、物語は途中でジェットコースターのごとく急速落下して加速していく。こうまで来たプレイヤーはきっと目が離せなくなり、辞められなくなるだろう。間違いない。私などは、そこから徹夜して完走したほどだ。ただ、先人として助言をさせてもらうと、目が離せなくなった時、物語は案外、中盤でしかなかったりするので注意が必要だ。
本当なら、「いいからやれ、やればわかる」と言うような作品について、なんとかネタバレにならないように頑張って紹介をしてみた。が、最後に言う事はとにかく一つだ。「いいから、やれ」
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*1:ケムコのADVのメインシナリオライター的な人。ケムコアドベンチャーポータルで色々記事を書いている。作品同士がこっそりつながっているような世界観を共有した話を書いているが、この作品はRさんと言う方がシナリオを書いて、amphibian様はあくまで監修ということで、そのような繋がりはない模様
*2:郁紀は世界中の人間をあらゆるものが「醜い怪物」のように見える状態になってしまった。そんな中、唯一普通の人間の見た目をした沙耶と出会うのだ。例示から分かると思うが、実際には沙耶の方が「醜い怪物」で……。といった作品
*3:選んだアイスの種類によって5つの平行世界に分離した、それぞれのクロ、という事だろう