エンターテイナー・アモルのカレイドスコープ

AWsの代表、エンターテイナーであるメリーさんのアモルが万華鏡の如く感じたことを書き綴る

作品の媒体の違いと魅せ方の違いについての考察 小説とアニメと漫画とゲーム

 こんばんは、アモルです。少し前から時折知り合いに「作家なりの見解を聞かせて」みたいな尋ね方をされることがあり、作家なりの見解とは。と悩んでいたのですが。何だかんだ私なりの所感を話すだけで、さすが作家、と納得されるので、いまだに答えは出ていません。

 が、私にとっては当たり前の考えなんですが、私の周りで話を聞くと、そこまででもないらしい概念として「媒体が違えば描き方が違うのは当たり前」というのがあって。今日はそれについて語ってみようかなと思います。

 

 

 

媒体とは

 さて、早速ですが、媒体の違いを論じる前に媒体とは、何でしょうか?

 流石に分かるわって方もいらっしゃるかと思いますが、まずそこから通じない人もいたので、説明します。

 この記事を読むに当たっての意味さえ分かればいいので、原義などを完全に無視して説明すると、要はその作品がアニメなのか、ゲームなのか、小説なのか、漫画なのか、という事です。

 

まずは簡単にまとめてみる

 まずは話のとっかかりとして私の見解を箇条書きにして説明してみます。要は私なりの結論を先に提示する、ということですね。

 

小説

・情報や状況の説明が容易

・心情描写を深く行える

・圧縮率が最も高い

・何事も文字で表現することが求められる

・活字が苦手な層など、読み難いと感じる人もいる

 

漫画

・読み易い

・絵的な説明が得意

・直接的な説明は苦手気味

・地の文的な表現もある程度は可能

 

アニメ

・絵的な説明が得意

・動きと音による説明が加わる

・直接的な説明は苦手気味

・尺の問題が明確に存在する

・視聴者の時間を拘束する

 

ゲーム

・プレイヤーが操作による描写の省略

・絵的な表現がやや得意

・直接的な説明も可能

・プレイヤーの拘束の大小はゲーム性によって変化する

・あまり媒体の違いは意識されずファンサービス的に作られることもある

・小説とアニメ(あるいは漫画)といいとこ取りができる

 

詳細に語る

小説

 小説の強みは一言で言えば圧縮率が高いという言葉でまとめられる。小説を文庫本規準で考えても、基本的に1巻の消化に概ねアニメ半クールは消費するし、漫画も5冊以上を要することが多い。

 そして、この性質はそのまま情報量を多くしても問題が少なくなり易い。要は理解のために説明をしなければならないことが多いような作品でもその説明という問題をあっさりクリアできてしまうのだ。

 また、情報量の多さは、心情描写にも費やせる。アニメや漫画でキャラクターがずっと机に向かってモノローグしていてもつまらないが、小説であれば許される。

 一方で、絵的な表現、動きを伴う表現は苦手だ。漫画やアニメであれば視覚的に魅せられることでも、かなりの文字数を費やさなくてはならなくなる。そして、絵的な情報がないというのは、そのままキャラクターへの認識力が低下する問題もある。登場人物が多ければ多いほど、小説だと読者が混乱しやすくなる。登場人物が多い作品は例えば『水滸伝』や『六畳間の侵略者!?』のように極めて特徴的な性質や口調でキャラクターを個性づけし、見分け易い努力をしている。

 

水滸伝全6巻セット (潮漫画文庫)

水滸伝全6巻セット (潮漫画文庫)

 
六畳間の侵略者!? (HJ文庫)

六畳間の侵略者!? (HJ文庫)

 

 

 以上のことから、小説はキャラクターの心情を深く説明したり、前提となる説明が多く必要な作品に向いていると言える。また登場人物は多すぎない方が良い。

 メディアミックス作品に小説が加わる場合、これらが考慮された作りである場合が多い。

 例えばアニメを原作とする『刀使ノ巫女』のメディアミックス作品である小説『刀使ノ巫女 琉球剣風録』は、刀アクションを得意とした原作に対し、戦闘は控えめで、主人公二人の心情にフォーカスするシーンが多くなっている。また物語の主軸はストームアーマーと呼ばれる装備なのだが、「アニメに出てきたもののプロトタイプでメリットに対して大きなデメリットがある」という存在で、これは文章によって「違うものだよ」と説明でき「こんなメリットがある代わりにデメリットがあるよ」と説明できる恩恵によるものである。また、戦闘シーンも金剛身や八幡力、写シと言った能力が多く活躍していて、言葉だけで説明し易い戦闘になっている。

 オリジナルエピソードではない例としては初代『.hack』の小説『.hack//anther borth』などがある。これは本筋は原作と同じなのだが、視点が主人公≒プレイヤーである原作と違い、ヒロインのブラックローズとなっている。ブラックローズ視点にすることで、サブキャラクターとの絡みを減らし、またブラックローズの心情に物語をフォーカスさせている。

 

刀使ノ巫女 琉球剣風録 (JUMP j BOOKS)

刀使ノ巫女 琉球剣風録 (JUMP j BOOKS)

 

 

漫画

 漫画のメリットはなによりも絵的表現だろう。かっこいい戦闘や細かい姿の描写など、絵だからこそ簡単に*1表現できる事が沢山ある。

 また、四角い吹き出しや一コマをまるまる使ったモノローグなどにより、説明や心情描写も小説ほどではないなりに可能だ。小説ではないほど、とは言ったが、絵的表現と文による説明を交えられることを考えれば、情報量としては小説と同じくらいか、もっと高い多い事さえあるかもしれない。絵とはそれだけ情報が多いのだ。

 一方で、吹き出しの中に文字が詰まってばかりだったり、動きが少ないコマばかりの作品は退屈に思われがちである。そもそも漫画のメリットを潰してると言わざるを得ない。沢山喋らせたいなら、小説やゲーム、アニメの方が向いている。

 まとめてみると小説とアニメの特徴を足して2で割ると漫画の特徴になる、と考えられるかもしれない。

 メディアミックスで漫画が作られた例はあまり知らないのでメディアミックスで変わった例は提示できません、申し訳ないです。(と言うよりあんまり漫画を読まないのです)

 漫画として、説明やアクションを両立してる作品といえば『蒼き鋼のアルペジオ』や『fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』などがあるだろうか。ともかく漫画はややニワカなので十分に適切と言える例を出せなくて申し訳ない。

 

蒼き鋼のアルペジオ 01 (ヤングキングコミックス)

蒼き鋼のアルペジオ 01 (ヤングキングコミックス)

 

 

 メディアミックスやストーリー型の作品とは方向性が違うので語らなかったが、四コママンガのようにテンポよく言葉を放っていくような作品もある。これは必ずしも上の特徴を満たしていないものもあるが、吹き出しを順に読んでいくことでテンポよく読んでいく事ができ、だからこそ面白い。という事も多く、上とは別の形で漫画の強みを生かしているものである。

 

アニメ

 アニメ最大のメリットは動きと音である。とにかく動きに関していえば、他の媒体の追随を許さない(と見せかけてゲームに負けることもあるが)。それらは漫画以上の視覚的情報を付与してくれる。

 一方で動きが少ない絵は使いにくい。動きが少なくモノローグばっかりなら小説か、ゲームの方が向いているからだ。

 だが、動きと音だけでも心情描写はかなり強めに働かせられる、表情や声色だけで、文字で直接的に読むという会えていえば無粋な真似をしなくてもそれを感じ取る事ができるのがアニメの強みと言える。

 説明が難しい事も視覚的に見せて仕舞えばこちらのものだ。これは『刀使ノ巫女』の1話などが強烈にそれを示してくれた。

 

切っ先の向く先

切っ先の向く先

 

 

 ただ、一方で小説や漫画、ゲームのように文字で説明されない情報は受け取れない場合もある。『刀使ノ巫女』の1話がその出来に反して最初あまりよい評価が下されないことが多かったことからもそれが分かる。あえて上から言うならば、「その程度」の視聴者が圧倒的に多いのだ。

 また、尺が完全に決まっているのも難点だ。アニメは基本的に30分構成で近年、多くのアニメは1クール、12話程度に収める事が求められる。総じて小説2巻分程度しか消化できない。

 以上の事からアニメは動きや音を生かし易い設定と、尺の中に以下に物語を落とし込むかが求められる。

 メディアミックスというより「アニメ化」が圧倒的に多いが、尺のために1巻の内容を大幅に省略し1話に収め、各巻の内容のキモを抑えつつ省略、物語が次のフェイズに至る直前で物語を終えて最終話をオリジナルにした『六畳間の侵略者!?(なお評判自体はそこまでよくはない。あくまでアニメという媒体に落とし込むに当たってよくやった、という話と思って欲しい)や、説明が大半な多くのキャラクターを省略、ヒロインのヒロイン性を動きと音で分かりやすい性格に改変し、物語を単純化させて原作のエッセンスをもたせながら異なる物語とした『蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ』などがその例と言えると思う。

 

侵略開始!?

侵略開始!?

 

 

ゲーム

 ゲームの最大の特徴はプレイヤーが操作できる事だ。細かい特徴はゲームのカテゴリによっても違うので一概には言えない部分もあるが、プレイヤーの選択や行動によって様々な展開を見せる事や、絵的な表現も文章的表現も比較的得意であることが特徴と言える。

 RPGやアクションなどのプレイヤーの操作で敵と戦うゲームであれば、戦闘という山場をプレイヤーにお任せできるのも特徴と言えるだろう。

 ただ、メディアミックスというよりもファングッズ的なゲーム化が多く、この辺の長所が充分に満たされたゲームが出るというのは滅多にない。(いくつか、これはそうなのかな? というものもあるのだが、そういうものに限って原作を知らない)

 

メリットを殺す作品の話

 さて、ここまで語ってきたが、世の中には上に当てはまらないようなものも数多くある。単にアニメ化しただけの作品など上げるのも大変だ。

 他にもツイッターなどでは「漫画の長所をちっとも活かせてない漫画」なんかもある。小説どころか単なるツイートですらいいレベルのものだ。漫画を描けない分際で言うのもなんだが悪く言えばセンスのない漫画家に多く、書籍化されたりすることはまずないが、ツイッターではよく見かける。私もついその傾向にあるが、漫画の形をとると読んでもらいやすいという世相が関係しているのだと思う。ある意味「ネット上で読んでもらいやすい」も漫画の新しい特色になりつつある、と言えるのかもしれない

*1:ここで言う簡単とは、各媒体を比較した時、どれだけ表現し易いかを比較した相対的なものである。決して字を書くより絵を描く方が簡単と言う意図ではないことは理解して欲しい